2017年3月24日金曜日

読了:天狗芸術論・猫の妙術

両作共、江戸時代中期の武士・佚斎 樗山(イッサイ チョザン)による武芸の心得を説いた本だ。

天狗芸術論は、武芸者が山中に天狗を求め、武芸上達の秘訣を聞き出そうとする物語、猫の〜は、誰も捉えることのできなかったネズミを事もなさげに捕らえてみせた老猫が、仲間にせがまれて語る武芸の極意(ネズミ捕りの極意?)。
戦おうと気負う程負ける、かと言って明鏡止水・泰然自若を求めようとするほどその作為が敗けを呼ぶ、じゃあどうしたら良いの?そこが極意、という事で。・・・
宮本武蔵の五輪書が、例えば立ち方・歩の進め方、刀の握り方、目線の付け方など具体的に”戦い方”を指南しているのに対し、こちらは心の有り様を語り尽くしている。
そして、どちらも、「刀だけじゃダメだぞ、勉強もしろよ」と釘を刺している。

両作とも1回通読して、ああ分かった成る程ね、では終わらない。なにしろここで語られるのは、長い年月、コツコツと修行を重ねても果たして到達できるかどうかの境地だ。
それは例えてみれば、遥か彼方の山の頂だ。
薄ぼんやりとしか見えないが、向かうべき先が示してある。
すぐに行き先を誤ってしまいそうになる僕にとって、これほどありがたいことはない。

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天狗芸術論・猫の妙術

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