2013年3月13日水曜日

読了 丹下左膳

少し前になるけど、やっと丹下左膳を読み終えた。
読めないときもあったけど、1,000ページを有に超えるボリュームでした。

 若くて前途ある青年剣士を主人公に、いわくある家伝の宝刀、それを狙う大名、主人公を影から支えるお奉行一派、町家の娘、その他一癖ある侍達が係わり合い、物語を紡いでいく。
 ともすれば王道の時代劇として終わってしまうであろう(大作ではあるが)この物語に彩りを添えているのが、隻眼隻腕の怪剣士・丹下左膳だ。
義理人情よりも、斬りたいから斬る、手に入れたいものは殺しても盗んででも手に入れる、その上剣の腕前は誰よりも立ち、主人公さえも圧倒する。悪行三昧、しかし誰も手を付けられない、そんな彼が舞台に唐突に現れて、さんざん暴れておいて、ふいと消えていく。
 最後には主人公のハッピーエンドが控えているのだが、我ら読者は、消えていった丹下がどうなったのか、次にまた会えるのかどうか、そっちの方が気になって仕方が無い。

 ところで、大勢で集まって酒を呑み、刀を抱えて雑魚寝をする。
一間の破れ間借りで、惚れた女房とふたり、ささやかな夕餉を頂く。
買う訳でもないのに、遊郭を兄貴分とぶらりと冷やかし歩く。
おそらくもう体験する事の出来ない古き祖国の風情に、僕は強く心を惹かれて止まない。


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